証拠は訴える側が用意する

男性のための離婚知恵袋 リコチエ

証拠は訴える側が用意する

女性の方は→女性のための離婚知恵袋

裁判を経験したことのない人が決定的に勘違いをしているのが、裁判というものが主張する側に立証の責任があるという点です。

離婚のような人事訴訟においては、職権探知主義といって、裁判所が証拠を集め必要な事実を確認するという方法が取られます。
しかし、請求すればその事実を裁判所が証明してくれるというものではなく、請求した側がその請求の根拠を証拠の提示によって示さなければなりません。

具体的には、浮気を理由に離婚や慰謝料の請求を訴えた側は、浮気の証拠を提示しなければならないということです。
訴えられた側は、浮気の証拠に証明力が足りない場合、単に否認しているだけでも不利にはなりません。
もしくは、浮気の証拠に疑念の余地があることを、裁判官に示すだけで足ります。
そして、疑念の余地がある限り、訴えた側の主張は通ることなく、裁判は棄却判決が出されて終わります。

大切なのは、浮気が「あること」を証明する必要はあっても、浮気が「ないこと」の証明はいらないという点です。
あなたが妻の浮気を理由に離婚を訴えるとして、裁判官は妻が浮気していないことの証明を妻に求めるようなことはしません。
実際、あることの証明はできても、ないことの証明は非常に難しいのが世の中の常だからです。

日常的な会話では、例えば嘘をついていると思われる相手に、「嘘じゃないなら証拠を見せろ」という言いかたが成り立ちます。
しかし、裁判では「嘘である証拠を見せろ」となるわけで、嘘である証拠がないなら、それは嘘とは限らないという判断です。

裁判はこのように進むため、浮気による離婚訴訟では、訴える側が浮気を証明できなければ勝ち目がないのです。