合意分割と3号分割の重複
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非常に勘違いしやすいですが、年金分割の合意分割と3号分割という制度は、それぞれ全く違う期間で考えられるのではなく、合意分割が婚姻中の全期間を対象にしているため、3号分割は合意分割との重複があります。
重複の最もわかりやすいケースは、婚姻から離婚まで妻がずっと扶養されてる場合なので、例にしてみましょう。
合意分割における按分割合を、0.4とします。
【年金分割前】
平成20年3月まで:夫の標準報酬3,000万円、妻の標準報酬0円
平成20年4月以降:夫の標準報酬2,000万円、妻の標準報酬0円
3号分割は合意分割より優先されるので、平成20年4月以降の2,000万のうちの2分の1、1,000万円が強制的に妻側に移動します。
【3号分割後】
平成20年3月まで:夫の標準報酬3,000万円、妻の標準報酬0円
平成20年4月以降:夫の標準報酬1,000万円、妻の標準報酬1,000万円
この時点でトータルでみた夫の標準報酬は4,000万円、妻の標準報酬は1,000万円です。
合意分割での按分割合は0.4で、本来の標準報酬は、夫が3,000万円、妻が2,000万円でなくてはなりません。
差額が1,000万円あるので、この差額を夫の標準報酬全体から妻側に移動します。
そのためには、3号分割後の夫の標準報酬4,000万円から、全期間において25%を妻側に移動すると帳尻が合います。
【合意分割後】
平成20年3月まで:夫の標準報酬2,250万円、妻の標準報酬750万円
平成20年4月以降:夫の標準報酬750万円、妻の標準報酬1,250万円
ここで、平成20年4月以降において、妻の標準報酬が夫よりも多くなっていることに気付いたでしょうか。
平成20年4月以降は、3号分割と合意分割が重複しているため、標準報酬が逆転しているのです。
しかし、トータルでみると按分割合の通り、夫が3,000万円、妻が2,000万円という標準報酬になっています。