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離婚の財産分与対象で最も面倒なのが、不動産の分与で、それは不動産が形として分割できないことと、ローンが残っている場合の問題があるためです。

■売却して分ける

最も単純で明確なのは、不動産を売却して売却金額を夫婦で分ける方法で、現金化してしまえば流動性が高く扱いやすくなります。
しかし、多くの家庭にとって不動産とは即ち家であり、離婚するから家を売るかというとそうでもありません。
離婚後にも住むところは必要なので、家はどちらかの名義で残すの普通でしょう。
また、売却するには何らかの方法でローンを一括返済しなくてはならず、大抵はそれができないから面倒なのです。

■不動産の価値を分ける

まずは家の価値を調べなくてはなりませんが、指標になるのは路線価、固定資産税評価額、公示価格、購入価格、不動産取引情報くらいで、いずれも現在の価値そのものには該当しません。
不動産鑑定士であれば、精度の高い価値を算出できますが、高額の依頼料を取られます。
ちなみに不動産会社の査定は、営業上の価格であるため、多くの場合に正確ではないので参考程度にしましょう。

【ローンがない場合】
ローンがなければ、価値に相当する金額を他の財産で分ければよく、家以外に財産がない場合は、家を持つほうが価値の半分を将来支払う約束をする方法もあります。
しかし、ローンがないのであれば売ることも可能なので、関係を断ち切りたいなら売って分け合うほうがよいのかもしれません。

【ローンが残っている場合】
住宅ローンは高額で長期間なので、離婚時にもローンが残っていることは多く、それが問題の原因になります。
現在の家の価値からローン残債を引き、残った金額がプラスでもマイナスでも夫婦で分け合いますが、マイナスなら家を持ちローンを支払う側に、もう一方がマイナス分の半分を補填すればよいでしょう。

ローンで面倒なのは名義が関わるためです。

・単独名義の場合
家の名義が単独なら、ローンを借りているのも同じ人なので、そのまま住んでローンを支払っていくだけです。
ローンだけ支払って、名義を相手に移すことで財産分与としたくなりますが、ローン会社は基本的に債務者がローン対象の名義人でなければ認めません。
また、名義もローンも家を出ていく側が持つのはやめましょう。
家に住む側は、離婚後に勝手に家を処分されて追い出されても、何の文句も言えなくなります。

・共有名義の場合
共有名義であれば、連帯債務や連帯保証になっていることが多く、離婚後にもその関係は残ることから、単独名義や単独債務にしたくなります。
ところが、連帯債務や連帯保証というのは、その状態だからこそ融資してもらえたという実情があり、離婚したからといってローン会社は単独債務を認めず、単独名義への変更も認めません。
そこで、離婚後に家を持つ側が、単独で保証会社を利用してローンを借り換え、それまでのローン会社には完済してしまう方法があります。
そうすると、完済によって連帯債務や連帯保証ではなくなるため、単独名義の単独債務とすることができます。